研究室の活動方向

当研究室は、1978年(昭和53年)工学部建築系教室(建築学科・環境計画学科、現建設学科)に設立され、約35年の歴史があります。現在、大学院生・学部生・研究生を含め、合計約15名で研究室での活動を行っています。

1995年の阪神・淡路大震災以降は、被災地の中央に位置した総合大学の責務として、地震に対して大学全体で総合的研究に取り組んできました。この背景の中で、自然災害に対処し得る都市づくりだけでなく、人口が集中し過密化する都市ゆえに発生するさまざま危険性と都市機能の麻痺などに対する防災や安全について、多面的な視点から研究することを理念として、1996年に都市安全研究センターが設置され、北後はこの都市安全研究センター リスク・マネジメント大研究分野の安全都市づくり(Urban Safety Management)研究分野を担当しています。

当研究室で取り組んでいる研究テーマは、「防災」や「安全」といった非常に幅広い内容となっていますが、総じて「人間を大切にする視点」「安全を重視する姿勢」を貫いたものとなっています。また、被災地の研究室として被災地復興や被災記録づくりに取り組んでいます。

研究内容については、建築学会、都市計画学会、地域安全学会、火災学会等で多くの研究論文発表を行なってきました。また、広く社会に研究室の活動を公開することを企図して、オープンゼミナールを毎月実施しています。建築計画から都市計画、また法規や制度といったさまざまな内容を、毎回2編ずつ研究室スタッフや、外部の専門家を招いて発表しています。このゼミナールの参加者は、研究室の在学生・卒業生、自治体の都市・建築・消防関係の職員、コンサルタントのスタッフや安全に関心のある市民の方々です。参加は自由なので、このページをご覧になっている方は、是非ともご参加いただければと思います。

一方、阪神大震災による被害を正確に後世に記録し、震災を風化させないことを目的として、震災で亡くなった方々のご遺族すべてを対象とした震災犠牲者聴き語り調査を、他研究室や他団体と協力して行なっています。調査を開始してから数年になりますが、今後も規模を拡大しつつ、継続していくべきものと考えています。

21世紀となって、新しい建築及び都市の計画理論のあり方が模索されている中で、重要なキーワードとして「安全」が挙げられることになると考えます。30年近くにわたって建築・都市・地域の防災研究を行なってきた当研究室の果たすべき社会的役割は、今後さらに大きくなっていくものと思われます。研究が継続し、規模が拡大してくると基本を忘れがちとなりますが、今一度初心に立ち返り、「人の安全、人の命」と携わっている学問分野であることを研究室一同肝に銘じ、活動していきたいと思います。

(北後明彦)