防火避難計画(火災事例調査)
背景
様々な建築物を対象として、用途や計画、利用者特性などから建物の持つ特徴を把握し、火災、地震、それらの同時発生の際に、 人々が建物から安全に避難できるような平面計画や避難計画理論の構築を目的としています。
研究内容
大別すると、実験・実測による研究、シミュレーションによる研究(予測・検証)、事例研究(ヒアリング調査、アンケート調査、文献調査) というアプローチ方法で進めています。
これまで当研究室で行われた地域防災に関する近年の研究をピックアップし、下に示しました。
アトリウムを有する建築物の避難安全性に関する研究(淡野,2004年度卒論)
地下街の防火管理のあり方に関する研究 -管理者の火災安全意識を通して-(西尾,2004年度卒論)
病院の避難計画と避難安全性能評価に関する研究(松山,2003年度修論)
火災時の防災要員による対応活動に関する事例研究(森山,2003年度修論)
共同住宅の避難計画と避難安全性能評価に関する研究(馬越,2003年度修論)
性能規定化に伴う避難安全検証法の活用の現状とそのあり方に関する研究(高田,2002年度修論)
サッカースタジアムにおける観客の行動と安全性に関する研究(野原,2001年度卒論)
建築空間における非常口の特性と避難安全性の定量化に関する研究(中村,2001年度修論)
不特定多数が訪れる建築物における車椅子使用者の避難に関する研究(津村,2000年度修論)
避難行動特性である向光性に関する実験的研究(久保田,2000年度博論)
不特定多数が訪れる建築物における非常口の認知についての研究(中村,1999年度卒論)
防火対策の設置と信頼度が避難安全性と防火コストに及ぼす影響(中野,1999年度博論)
高密度群集の歩行特性に関する研究(木村,1998年度卒論)
災害弱者を考慮した建築物の避難安全対策に関する研究(津村,1998年度卒論)
台北駅の地下街における避難計画に関する研究(邵,1998年度修論)
逃げ遅れ型火災に対応した避難安全性評価法の構築に関する研究-バルコニーからの避難・救助を考慮したモデルによる検討-(吉田,1998年度修論)
阪神大震災における中高層建物での死者発生状況に関する研究(西山,1996年度卒論)
阪神・淡路大震災における出火構造に関する研究(岩見,1996年度修論)
病院の防火設計に関する研究 -避難計画を中心に-(中平,1996年度卒論)
建物火災時の避難経路選択に建築的要因が与える影響に関する研究(林,1996年度博論)
視覚的シミュレーション実験による経路探索の方略に関する研究(添田,1995年度修論)
内部空間における視覚的シークエンスの記述に関する研究(山田,1995年度修論)
スタジアムの群衆流動と避難計画 - サッカー場に関する研究(越山,1994年度卒論)
防火コストを考慮した最適防火設計法に関する基礎的研究(中嶋,1994年度修論)
高層住宅におけるリスク認知と防災対応に関する研究(森地,1993年度卒論)
超高層住宅居住者の防災意識に関する研究(木暮,1993年度卒論)
T字路における避難経路選択行動に関する研究(夛田,1993年度卒論)
避難計画策定における在館者人数基準値の設定に関する研究(中野,1993年度卒論)
建築物の防火投資に関する研究(鈴木,1993年度修論)
有料老人ホームの防災計画に関する研究(原田,1992年度卒論)
共同住宅の防火対策から見た維持管理に関する研究(平井,1991年度修論)
集客施設における群衆流動に関する研究-花博パビリオンのケーススタディ-(佐々木,1990年度卒論)
現在、難波(M2)が修士論文研究として「病院における避難誘導計画に関する研究 -火災事例分析を通して-」に取り組んでいます。
昨年、本年と、実際に火災を経験した病院への調査や非常用EVを備えた病院におけるヒアリング調査を行ってきまし。調査の中で、 実際には想定すべき火災シナリオが多種多様であり、現場による臨機応変な避難行動がなされている様子が見受けられました。EVを用いた避難、 多様な担送方法、全患者数に占める避難者数の割合、診療科目による出火原因の違い、出火箇所などがその一例です。
避難誘導のあり方は、現状にあった方法であるべきです。多くの人の努力によって、特異火災事例となるような大規模な火災事例が少なく なった今、火災時の実態を知ることが困難になっていると思われます。シミュレーションを行うための諸条件のデータとして、また火災リスクを 考慮した性能設計を行う上でのシナリオ選択のためのデータとして、本研究により、今後の病院建築の平面計画や避難計画へと反映がなされることを 目的としています。
また、森山(D2)は「避難開始時間に与える影響要因に関する研究」に取り組んでいます。
火災初期の事象や対応行動が、火災規模の大小や避難行動の成否に大きく影響することから、初期消火や避難誘導などの初期対応を行う時間を 把握し、最も重要な避難開始時間に影響を与える要因について提案を行うことを目的としています。東京消防庁の統計データ(H7~H14)を用いて、 避難の有無、発見者や通報者の初期対応時間、延べ面積、発見者の属性、建物用途の違いといった視点から分析を行っています。避難開始時間に 影響を与える要因を明らかにし、初期対応を行う時間を短くするための提案に繋げるという発展性のある研究です。