地域防災

背景・目的

日本は位置、地形、地質、気候などの自然条件から、地震や水害などの多くの災害が発生しやすい国土です。太平洋沿岸地域を中心に大きな 被害をもたらすとされる東海地震、東南海・南海地震などをはじめ、全国各地で災害の発生が懸念されています。そうした災害が発生した時、 被害を軽減するために最も力を発揮するのが地域にいる人々や組織の力です。阪神・淡路大震災においても、地域防災力が強固な地域では被害が 比較的小さかったことが一般的に言われています。

そこで、地域住民だけではなく、行政機関、民間企業、学校や公民館などの多様な社会組織の防災への取り組みについて現状を把握するとともに 問題点等について指摘を行い、地域の防災力を高めるための提案につなげるための研究を進めています。

研究内容

「住民もしくは住民組織の防災への取り組みに関する研究」と「行政機関、民間企業、学校など社会組織が主体となって行う防災への取り組みに 関する研究」に分類することができます。

当研究室で行われた地域防災に関する近年の研究をピックアップし、下図に示しました。

    • 地域住民の防災施設としての公民館のあり方に関する研究(梅崎,2003年度卒論)

    • 津波時における人間の行動特性を考慮した避難システムのあり方に関する研究(大友,2003年度卒論)

    • 津波ハザードマップの公表実態および住民の危険情報の理解に関する研究(木本,2003年度卒論)

    • 高齢社会における災害に強いまちづくりに関する研究(楢原,2003年度修論)

    • 日米の防災教育に関する研究(渡邊,2003年度修論)

    • ヒューマンパワーを取り入れた地域防災システムの構築に関する研究(青田,2003年度博論)

    • 住民意識を考慮した住宅耐震化の促進に関する研究(中林,2001年度修論)

    • 鳥取県西部地震における小学校職員の行動に関する研究(鎌田,2000年度卒論)

    • 阪神・淡路大震災による住宅への意識と取り組みの変化に関する研究(富田,2000年度卒論)

    • 防災福祉コミュニティの現状分析に基づく育成方策に関する研究(稲葉,1998年度卒論)

    • 阪神淡路大震災後における住民の防災意識の内容(二宮,1998年度卒論)

    • 災害対応情報システムの構築に関する研究(流郷,1997年度卒論)

    • 阪神大震災におけるLPG漏洩に伴う広域避難に関する研究(木村,1996年度卒論)

    • 阪神大震災における中小工務店の役割に関する研究(西,1996年度卒論)

    • オフィス街における企業防災の実態と企業間防災協力の可能性に関する研究(毛利,1996年度卒論)

    • 大震災時における事業所の地域での防災的役割に関する研究(遠藤,1996年度修論)

    • 地域防災計画にみる自治体の地震対策の現状と課題(松隅,1996年度修論)

    • 阪神大震災における市民の初期避難行動に関する研究(白井,1995年度卒論)

    • 水害時における保育所の避難対応に関する研究(原田,1993年度卒論)

    • 高層住宅におけるリスク認知と防災対応に関する研究(森地,1993年度卒論)

    • 超高層住宅居住者の防災意識に関する研究(木暮,1993年度卒論)

    • 地域防災計画書にみる自治体の防災力に関する研究(小泉,1993年度修論)

    • 都市の地震火災危険度評価に関する研究(山本,1992年度修論)

    • 雪害地域における防災まちづくりに関する研究(北島,1991年度卒論)

    • 自治体の広域避難計画に関する研究(小泉,1991年度卒論)

    • 福井地震時における住民対応行動に関する研究(中野,1991年度卒論)

    • 水害時における避難行動及び避難生活に関する研究(山本,1990年度卒論)

2005年度は木本(M2)が修士論文研究として「観光地における宿泊施設の業務継続計画に関する研究」に取り組んでいます。

観光地は総じて自然災害を受けやすい土地に立地しています。観光地において、宿泊産業は観光地(周辺)における雇用を確保する重要な 産業です。また中長期的に見ても、被災地の宿泊施設を維持するという災害対応から復興にかけての重要な役割を持っています。

これまで取り組まれてきた観光地を対象にした研究では、被災時に観光客の安全をどう確保するのかという視点からアプローチしたものでした。 そこで、観光地としての安全を確保するとともに、被災後も観光地全体として事業継続できるかということに注目して研究を行っています。